愛のタンク

今年の夏、職場の人と流れで占いに行った。高校生の頃、明るくてかわいくて素直で羨ましくてたまらなかった女の子が同じ誕生日だと知ったときから、占いを信じる気持ちはほぼなかったけれど、自分でもどうしようもない性格の部分についてやさしく的確に指摘…

海底と衛星

体調が悪くて頭が回らないが、『違国日記』最終巻を読んだ。何度読んでも、生きる人間のまなざしと救いのある物語だった。 たまに海底で生きている想像をして、ひとりでいることに納得しようとするのだけど、笠町くんの言う「衛星」は理想的だなと思った。衝…

直視できない

今日も眠れない。久しぶりに短歌をつくろうと思っていたけど何も浮かばなかった。何かをよく見ることができなくなったのかもしれない。 人との関係が終わっていくとき、酸素の薄い場所で死を待っている感じがして嫌だ。何をどうしてもきっと裏目に出るのだと…

海岸から沖へと

年が明けた。朝起きたら生き延びたことが苦しく、夜になれば明日がくることが不安で、一生を考えれば虚しくてたまらない。年末は布団から起き上がれず、大晦日はおでんを作った。ひとりで過ごす年末年始はいろいろなことを考えてしまう。今年は世の中も自分…

失踪しない暮らし

日々はずっとつらく、もう生きていたくないと毎日思っているが、電車で泣いたり会社のトイレで静かに怒ったりしながら生きている。階段から落ちかけたり、車に轢かれそうになったり、脳から血が出て本当に死にかけたりしながら、「また生き延びてしまった」…

戻れたり戻れなかったり

何の根拠もないけど、自分は23歳で死ぬだろうと思っていた。何事もなく生きた。次は27歳で死ぬだろうと思っていた。死にかけたけど、また生き延びてしまった。多くの人がそうだったように、生き延びてしまったことに絶望しながらまた人生が進むだけだとわか…

あらゆる選択を

出社して仕事をするようになり、帰りの電車で泣くことが増えた。入院中ずっと社会から取り残されていると思っていたけど、仕事に復帰しても社会から取り残されていると思うのは変わらない。頑張っても頑張ってもどこにも居場所がないことに耐えられない。 一…

何のための地獄

東京に戻り、自分の意思は反映されないよくわからない暮らしをしている。自分で自分の暮らしを選ぶことが許されない。よくわからない街でよくわからないマンションを契約した。お金を払える気がしない。とても嫌いな人と一緒にいる。なぜこんな暮らしをして…

宇宙船、または潜水艦

子供の頃、学校の先生にはさみしくてなれないと思っていた。今も、短い時間で他人の人生に大きくふれるなんて耐えられないだろうと思う。病院も似たところがある。明るい別れも暗い別れもあるけれど、病院で働く人たちはここを離れたらもう会うことのない人…

選択と生活

わたしと家族らしい付き合いをしたい人と話をして、すべてから逃げ出したくなってしまった。何か意見することもできず、どんどん話が進んでいくのをそういう物語を見るように見ている。わたしは「自分ひとりで自分の生活を選択できる」ことを何よりも大事に…

わたしだけの暮らし

退院の日が近づいてきた。東京でまた社会に見捨てられないようにしがみつく日々が始まると思うと不安でしかたがない。もうあとひとつでも間違えてしまうとどこにも戻れない気がする。ひとりでどうにかしなければいけないけど、なにひとつ失敗してはいけない…

とことんまで

仕事のチャットを見ていたら、社会から取り残されていることがはっきりとわかって泣いてしまう。居場所をつくることに躍起になってもむなしいだけとわかっているが、だからといって社会のどこにも触れずに生きていけるほど強くもなければ特別なものも持って…

やさしい生き物

夜に病室でひとり、廊下を歩く看護師さんに気づかれないように泣くことにも慣れた。このまま入退院を繰り返すのかもしれない。そんなことはなくて、すぐに良くなるのかもしれない。1回目の入院代は払えたが、次は払えないと思う。 後遺症は良くなるのかわか…

この部屋いっぱいの孤独

脳外科の先生がきて、簡単なテストを受けた。できないはずないのに全然できなくて、ただひたすらベッドの上で一日が終わることを考えていただけのときには考えられなかった「後遺症と付き合いながら社会で生きていく自分」を考えて絶望した。体が良くなって…

取り残されても

クリスマスイブは看護師さん10人くらいがサンタの格好をして病室を回っていた。クリスマスカードをくれた。入り口で「メリークリスマス」と言って手を振り合うだけの時間にどうすればいいかわからなくなりつつ、何が作用したかわからない涙が出てきて驚いた…

遠くから見ている

体調が少し良くなり頭がぼんやりとする時間が減って、病院で何もできない自分に苦痛を感じる時間が増えた。入院や手術の費用、有給などない仕事、ただでさえ経済的に苦しい実家、いつから働けるかわからないまま払い続ける家賃、いろいろなことが不安でどう…

本当に思っていることを

別の箇所に怪我が見つかったり新たに良くない症状が出てきたりして気落ちしている。いつ大丈夫になるのだろう。ベッドの上で先のことを考えると、知らない街で迷子になっている気分になる。 つらいニュースを知ったり、病室の他の患者さんと先生がつらい話を…

過ぎる光を

病院のベッドで眠るときの寝苦しさや体の痛みに、夜行バスの雰囲気を感じて懐かしくなった。わたしは夜行バスが好きだ。まず夜に出発する乗り物が好きだし、30人ほどが同じ場所に向かって眠ったまま移動するだけの空間を愛おしく感じる。たくさんの他人の生…

わたしの存在が大丈夫になるとき

昨日先生と話したことも曖昧だったりしてこわい。わたしは人と話したことや思い出を必要以上に大事にしすぎるタイプだと思ってきたので、自分が何も覚えていないかもしれないという状況に怯えている。体調の良い日は日記を書こうかなと思った。 唯一の友人に…

幼い頃のあだ名で

事故で入院して1週間が経った。病院に運ばれたあとしばらく意識が戻らず、両親が地元から来ていた。なんとなく父と母の顔を見た記憶があるが、すべて夢だった気もする。ICUから一般病棟に移って携帯を触れるようになり、父からLINEがきた。わたしのことを小…

寄り道

寄り道というものは自分の家に帰るときには当てはまらない気がする。地元にいた頃は高校やバイト先からの帰りによくお堀に行っていて、それを寄り道だと認識していた。亀が泳いでいるのを見ながら、嫌だったことをゆっくりと思い出して、間違えたことをひと…

眺めのいい場所

そんなこと思ったことなかったんだけど、今日帰りながらふと「眺めのいい場所に行きたい」と思った。それから眺めのいい場所について考えてみたけど、実家の近くの海や海岸線を走る車の助手席から見ていた景色ばかり浮かぶ。以前人から「あなたは海欲が強い…

大人だけど

オリンピックが始まって、連休があって、いつも以上に社会から取り残されている気分になっていた。大人だから考えなきゃいけないことがあるとわかっているけど、しばらく何も見たくない。 部屋の電球は1ヶ月切れたままだし、扇風機はカバーが取れてしまって…

不健康な思い出

何度か書いたことがあるけど、中学3年生のとき、吹奏楽部のコンクール数週間前から全く楽器が吹けなくなって、修理に出しても基礎練をずっとやっても全然だめで、部員も少なかったし先生もたぶん気を遣っていたからメンバーを変えるとかもなくそのまま本番に…

甘い水

くだものが好きなんだけど、なぜかと言うと、きれいで甘くて水がたっぷりで、ずっと心の中にわけもわからず存在する罪悪感が少し薄くなるからだと思う。大丈夫になる味がする。 去年はくだものをたくさん食べた。自分ではじめて桃やシャインマスカットを買っ…

冬の夜でも

自宅がとても寒いのでUNIQLOのフリースを買った。暖かい。一人暮らしを始めてから、さみしいときとにかく寒さを我慢してはならないとわかった。ダメな日は電気代を気にせず暖房をつけた方がいい。夜中でも気にせずココアやホットミルクを飲んだほうがいい。…

西日がまぶしい

上京してからずっと、さみしいときに電話をかけると波の音が聞こえる番号があってほしいと思っていた。今日ツイッターで広島市現代美術館の地球電話というものを知り、夜中に電話をかけてみたら広島の風の音が聞こえた。わたしは海の目の前で育ったのでよく…

いつか一緒に輝いて

人との関係が長く続くのは、お互いの感情とか本当はまったく関係なくて、ただお互いに執着心と信仰心がどれほど強いかというだけなのではないかと思う。執着心と信仰心を捨て去ってからが本当の愛なのかもしれないが、もとから持たない人がいるなら、その人…

2019年11月27日

中学三年生のとき、吹奏楽部のコンクールの本番数週間前からなぜか突然音が出なくなって、楽器を変えたり楽器屋さんに見てもらったりしたけど何をどうしても音が出なくて、小さな学校だから誰かと代わるとかもなくて、本番、ライトの当たった大きなステージ…

2019-09-30

夜行バスが好き。夜の高速道路が好き。朝着くように夜に出発する乗り物が好き。肩と腰と脚が痛くて、だるくて、なんとなくさみしくて、どきどきするけど安心できる場所が好き。これから先も悪いことしかないような、でもいいこともあるのかもしれないような…