失踪しない暮らし

日々はずっとつらく、もう生きていたくないと毎日思っているが、電車で泣いたり会社のトイレで静かに怒ったりしながら生きている。階段から落ちかけたり、車に轢かれそうになったり、脳から血が出て本当に死にかけたりしながら、「また生き延びてしまった」経験ばかりを積む。ふと死ぬことを考えても、ふと死んでみることはできない。いつ何が起こるかなんてわからないけど、「きっとどうしたって生き延びてしまう」と思ってしまうことが耐え難い絶望なのだった。逃げ道はないのだと何度も思い知らされる。


全く親しくなりたくない人と親しくしなければならない日々が続き、ひどく疲れてしまった。仲良くしたい人とだけ仲良くできるわけではない。会いたい人にだけ会えるわけではない。それを純粋に叶えようとするならば、人でなしだと糾弾されてもいいと覚悟しなければならない。

失踪することばかりを考えて考えて、失踪せずに暮らしている。前に観に行ったロロの舞台に逃げる準備をし続けているキャラクターがいて、そのことをたまに考える。たしかな救いがほしい。


大人になると楽になれると聞いていたが、白髪が生え始める歳になっても何も楽にはならず、どうにもならないことと諦めなければならないことが増えていく。膨れ続ける劣等感に苛まれながらあと70年とか生きるのかもしれない。