遠くから見ている

体調が少し良くなり頭がぼんやりとする時間が減って、病院で何もできない自分に苦痛を感じる時間が増えた。入院や手術の費用、有給などない仕事、ただでさえ経済的に苦しい実家、いつから働けるかわからないまま払い続ける家賃、いろいろなことが不安でどうしようもない。今日パジャマを着替えさせてくれた介護士さんはわたしよりも年下で、明るく優しく働き者だった。

 

リハビリはしんどい。人間は半月まったく動かないと体を起こすだけで吐くようになってしまう。機械が外れて久しぶりに見た自分の脚が、病院で寝たきりだったおばあちゃんの脚とそっくりだった。

 

ドレスコーズの『バイエル』を聴いている。最近聴いていなかったが、ずっとブレずに不器用なままだった。寂しいロマンチシズムを忘れないのが一番かっこいいと信じるしかない。

 

年末に行く予定だったライブのチケットのキャンセルができなかった。転売防止で申込者以外の入場もできない。席がひとつ空いてしまうのかと思うと、申し訳なさとどうしてこんなことになっちゃったんだろうという気持ちしかなくなる。

わたしって何なんだろうとか、倒れる前と同じことを考えてそれが前よりさらに深刻な悩みになっていることに打ちのめされる。

 

毎日しんどいけど思っていたよりもあっという間に時間が過ぎていて、痛覚だけがこっちにある他人の人生を遠くから眺めてるような気分になる。自分がどうしようもないことと、自分が恵まれていることと、何かに本当に頼ったりできないことと、どうバランスをとって向き合えばいいかわからない。